ふくしまHIGH SCHOOL ACADEMY 2023 副読本

高レベル放射性廃棄物(核のごみ)処分につて高校生が
スウェーデンや青森、福島を取材して考える。


2023.副読本(日本語版)WEB用

2023.副読本(英語版)WEB用

NPO法人ハッピーロードネット  理事長 西本由美子

東日本大震災、東京電力福島第1原子力発電所の事故から12年余りが過ぎました。廃炉作業や処理水の放出に注目が集まる一方で、たまり続ける使用済み核燃料、高レベル放射性廃棄物の処分は目の前に迫っている課題です。被災地である福島県浜通り、地層処分の文献調査が行われている北海道寿都町、原子力関連施設が立地する青森県六ヶ所村、福井県、茨城県の高校生13人が高レベル放射性廃棄物の処分について、「自分事」として捉え、自分たちの未来について考えるため、8月に日本国内とスウェーデンの原子力関連施設を訪ねました。
研修には最終処分に関して何も分からずに参加した高校生もいました。しかし、施設の視察や高校生同士の議論を重ねる中で、最終処分やエネルギーをどうまかなうべきかという課題は、自分たちも向き合わなければならないと気付いたようです。9月に開かれた報告会で、研修で得た自らの意見を、まっすぐなまなざしで発信していた彼らの姿は忘れられません。
何事も、子どもたちが気付くきっかけを与えることは大人の責任だと考えております。高レベル放射性廃棄物の最終処分は、これからの社会を担う子どもたちも責任を負う課題です。今回の研修に参加した高校生は、それを知ることができました。一方で、ほかの多くの子どもたちはどうでしょう。課題を知る機会も与えられずに将来、突然に課題を突きつけられる事態になることを、私は危惧しています。高レベル放射性廃棄物、日本のエネルギーの課題について、子どものうちに知ってもらう機会を提供すること、教育することは、大人が責任を持ってすべきではないでしょうか。
もちろん課題を解決するための行動もしなければなりません。協力し合って前向きに進めていく必要があります。ただ、国内で最終処分に議論が進んでいるとは言えません。強い言葉で言えば、「見て見ぬふり」をしている節すらあります。「先輩たちはあの時に課題を解決してくれた、解決するために努力してくれた」と子どもたちが将来、誇りに思ってくれるような大人でありたい―。「大人にも真剣に向き合ってほしい」と子どもたちは願ってます。
私たちはこれからも人材育成事業を続けていきます。学校では学べないことが、あまりにも多くあるからです。子どもたちが将来、必要になる知識や経験を得てもらうために歩み続けます。

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